REPORT

ストリートダンサーの聖地である渋谷で開催されるストリートダンスの祭典、
Shibuya StreetDance Week!7回目の開催となる2021年はオンライン配信を活用したトーク、ダンスレッスン、
コンテストやバトルなど多彩なプログラムが勢揃い。SSDW2021の内容を、映像と解説のアーカイブで振り返る!

11.22 MON :
DANCE WITH music in SHIBUYA

渋谷の街をステージに出演者たちと投稿動画が融合!

事前に配信されたオリジナル振付を覚えてアンバサダーや出演者と一緒に踊る参加型プログラムDANCE WITH music。
アンバサダーMicro提供のテーマソング『It’s your boy』に合わせ、Akanen、MiuIde、UNO、momoca renri、AMIの
フィメールダンサーのドリームチーム、Smokey Joe’s Cafeが振付を担当。
レクチャー映像の初心者向け、上級者向けのどちらかを選び、振付を覚えてSNSに投稿。
アンバサダーやダンサーと渋谷の街を舞台に共演!ニューノーマルの中での新しいつながり方を感じさせる映像が配信された。

11.22 MON :
DANCE TALK ROOM

トークから見えるダンスの現在地と問題点

SSDW初日は、ダンスで社会とつながること、ダンスを仕事にすることをテーマにした二つのトークセッションを配信。
DANCE TALK ROOM1ではゲストパネラーとして渋谷区長の長谷部健氏、認定特定非営利活動法人Doooooooo代表理事/株式会社DOYA代表取締役社長の銅冶勇人氏、これまで多くのアーティストの振付を担当し、ダウン症の人々のためのエンタテインメントスクール「LOVE JUNX」を主宰する牧野アンナ氏が登場。WELL-BEING(心身ともに満たされた状態であること)をテーマにダンスの社会的認知を深め、社会とサスティナブルにつながる方法について行政、起業、社会教育の視点からトーク。
従来のシステムを変えよりよい流れを作ってきた3氏は、これまでの経験を踏まえつつ、ダンスを通じて社会と「セッション」すること、ビジネスやNPOをリンクさせた継続性のある仕組みづくり、現場での意識改革、ダンスの教育効果と人材育成など、踏み込んだ議論を展開。
DANCE TALK ROOM2ではゲストパネラーとして、ボーイズグループ発掘オーディション「THE FIRST」のプロデューサーでラッパー・シンガーソングライターのSKY-HI氏、世界三大広告賞でグランプリを受賞した振付師の振付稼業air:man氏、世界最大のダンスバトル大会「DANCE ALIVE HERO’S」を主催し、世界初のダンスプロリーグ「D.LEAGUE」を開催するカリスマカンタロー氏が参加。
トップランナーである3氏に「仕事としてのダンス」という問いに対して、ダンスを一般に広げる視点で事業を行うカリスマカンタロー氏、世界レベルの夢とポテンシャルを埋もれさせない機会提供に取り組むSKY-HI氏、クライアントから求められる答えを出すことに特化した振付稼業air:man氏からは、三者三様の知見が語られた。
トークが進むにつれて話題は「個として踊る」ことへ。ダンスを極めて楽しむのか、ダンスで稼ぐのか。話は自分にとってのダンスを見つめ直す大事さに及んだ。

11.23 TUE - 11.25 THU :
FREE WORKSHOP

日本を代表するダンサーによるオンラインレッスン!

新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、昨年に続きオンラインで配信されたFREE WORKSHOP。何度でも見直してトライできる、配信動画の特性を生かした内容が好評を博した。
23日は、LINAによるKIDS向けワークショップ。ストレッチから始まり、身体の首・肩・胸・腰を一つずつ動かすアイソレーション、リズムトレーニングまで、トレーニングの基礎から丁寧に紹介。「寝坊しちゃった、急げ!」という振付のテーマも、楽しくキッズの日常とリンクしていて親しみやすい。
24日は、ReiNaによるHIPHOPのレッスン。ノリのいいウォーミングアップで身体をリラックスさせてから振付がスタート。それぞれのパートについて細かく動きの基本をレクチャー。一度、音楽とともに全体の流れを見せたあとに、各振付ごとにスムーズに動くコツ、動きで魅せるためのポイントを紹介。
25日は、ユーモアに富んだ語り口が魅力のKITEによるPOPのレッスン。まずはウォームアップ的に身体各部の使い方を解説。首・胸・腰の基礎の動きから、筋肉を弾いて(ポップさせて)動きにアクセントを入れ音楽のビートを表現するPOPのポイントまで、LOCKやHOUSEなどのジャンルと比較しながら説明。振付パートではPOP基礎編として腕の動きを中心とした振付を紹介した。
どの動画も初心者上級者を問わず、踊る楽しさと魅せる喜びが実感できる内容となった。

11.26 FRI :
HIPHOP LEARNING

HIPHOPカルチャーを4大要素から解説!

ストリートダンスのバックグラウンドの一つ、HIPHOPカルチャーを知るHIPHOP LEARNING。3回目を迎えた今年はカルチャーを構成するDJ、MC(RAP)、BREAKING、GRAFFITIの4大要素からHIPHOPの真髄に迫る。
各コンテンツはDJ MAR SKIによる進行のもと、ダンサーからの質問動画を挟みながら展開。DJについてのパートではHIPHOPにおけるDJの立ち位置と歴史的背景、選曲の仕方などについてDJ MAR SKIが回答。
続くBREAKINGパートにはB-BOY KATSU ONEが登場。BREAKINGが世界的に普及している理由やパリ五輪での追加種目への決定、ユース五輪での秘話が語られ、B-BOYの定義を問う質問動画への回答も。
MCパートの講師は晋平太。日本語RAPの起源から、RAPのマナーやルールについての普及活動、さらにビートに対して瞬時に言葉をシンクロさせる感覚、RAPで心を伝える大事さについて言及。最終的な正解は自分自身の中にしかないと熱く語った。
ラストのGRAFFITIパートの講師はTOMI-E。起源から自身がGRAFFITIを始めた経緯、HIPHOPを知ることができる映画、アメリカと日本のGRAFFITI事情までを紹介。実際に描く際にはスプレーをどう使うのか、さまざまなテクニックが実演された。

11.27 SAT :
EXHIBITION BATTLE

Prince Krow a.k.a Baby Konkreteが優勝!

EXHIBITION BATTLEでは、世界レベルでトップ争いを経験してきたダンスシーンを代表するキッズバトラー8名が登場。
7 to smokeとは1対1の勝ち抜き制ダンスバトル。40秒ワンムーブで両者が踊り、敗者はほかのダンサーと入れ替わる。連続して全員に勝利するか、制限時間内に一番勝ち残ったダンサーが優勝となる。7人の相手に勝ち抜くため、ダンスの技術や基礎体力はもちろん、相手のジャンルを受けてどう踊るかの駆け引き、使用曲の特徴をどうつかむか、そしてオーディエンスを盛り上げつつ最後までスタミナをキープするペース配分、折れないメンタルも重要だ。
ワールドクラスの審査員3名のジャッジによりHIPHOP、LOCK、POP、KRUMPなど、多彩なジャンルの猛者たちが競い合う様子はまさに異種格闘技戦。勝負は延長戦に突入し、RANAとの接戦を制したPrince Krow a.k.a Baby Konkreteが優勝!
キッズ世代の実力者が揃い、ジャッジも難しかったと振り返るKON THE FUNK。大人顔負けのムーブに、このまま日本のダンスシーンを引っ張ってほしいと期待を込めた。勝敗を超えて展開する7 to smokeの魅力が実感できるコンテンツとなった。
また配信映像にあるバトラーやジャンルの特徴と背景、バトルの見方を網羅した、SSDW企画チームの滝澤秀斗、審査員を務めたKON THE FUNKによる解説編も必見。

11.27 SAT :
PARK SHOWCASE

多彩なジャンルから、次世代を担う若手ダンサーたちが集結!

PARK SHOWCASEでは、育成に定評のあるダンススタジオや専門学校のチームに加え、ストリート生まれのチームやコンテストでの実績組も登場。JAZZ、HIPHOP、OLD SCHOOL、POPPINGと多彩なジャンル、そしてキッズ、ティーン、大人と世代もさまざま。中にはスタジオの選抜チームやSSDWのために編成されたスペシャルチームも。
登場する20チームには確かなテクニックはもちろん、衣装や選曲にもこだわりが感じられ、ストリートダンスのレベルアップと豊かな広がりが感じられるショーケースとなった。

11.28 SUN :
SSDW CONTEST

優勝は東京都立狛江高等学校!

2015年以来、SSDWで行われてきた高校生ダンス部対抗ストリートダンス選手権「SSDW CONTEST」。新型コロナウイルス感染症の状況を考慮し昨年は、映像作品での審査となったが、今年は再び野外ステージで高校生たちが躍動。
人数やジャンル、学年、部内の選抜メンバーなど、学校によってチーム編成はさまざま。コロナ禍のため集合練習が難しい時期もあったが、それを乗り越えて東京、神奈川、埼玉から10チームが参加した。
審査を担当するのは、世界で活躍するKensuke(BFQ)、黄帝心仙人、HALの3人。3人がそれぞれダンスを披露すると、いよいよコンテストがスタート。
審査の結果、第3位は1、2年生で編成された新チーム、得意のPOPスタイルで魅了した二松学舎大学附属高等学校。第2位は34人の2年生で構成された大編成チーム、HIPHOPやWAACKが中心のフリースタイルで「ドリーマー」を表現した千葉敬愛高等学校。
そして優勝は「カミナリ」をテーマに、コロナ禍に負けずに輝く姿を表現した東京都立狛江高等学校。優勝が発表された瞬間には、感激のあまり涙を流すメンバーも。その姿からは厳しい状況を耐え抜き、自分たちの表現を追求してきたことが感じられた。
最後に3人の審査員から、ダンサーとしてのリスペクトがこもった講評が語られて、コンテストは終了した。
「高校の3年間をこうしてダンスに捧げているみなさんがいることをうれしく思います。普通に楽しくダンスを踊るだけでは勝てない。日々の一つひとつが積み重なった結果がこういう場所で表れると思います。練習量であるとか、もしまだ自分に足りないと思うものがあると感じるのであれば、そこを生かしてスキルアップしてほしい。ダンスだけではなくいろいろなものを見たり感じたりして、次の目標に向かって頑張ってください」(Kensuke)
「高校生の大会はいろいろ観させていただいていますが、今日のコンテストを観ても、高校生のレベルがすごく上がっていると感じました。とくに自分たちで練習メニューを考え、作品を作っているチームのレベルも高いので、今後は自分たちで話し合って作品を作る機会を設けてもらえたらと思います。勝ちたいなら構成だけでなく、ダンスや衣裳を見せるシーンなどのバランスについて、話し合って作ると変わると思います。大人になるとこれだけの人数でなにかを作る機会は少なくなるので、この機会にいろいろな人たちといろいろな作品を作ってほしいです」(HAL)
「こうやってたくさんのチームが集まると印象に残るチームは限られてきます。自分の場合、インパクトが残るのはなににこだわり、どんなメッセージを伝えたいかがわかるチーム。構成にこだわるとかスキルの高いキーマンに合わせるとか、チームによってこだわるポイントは違うと思いますが、そのこだわりがどこまで伝わるかが結果につながる。僕自身、一番大きな大会で優勝したときに初めて、みんながすごいねと言ってくれるようになって。そこで自分のこだわりが伝わるようになったんだなと思います。だから、すぐには結果につながらないかもしれないけど、自分たちのこだわりをやり抜いて、最後に笑えるようになってくれたらいいかな。急ぎすぎずに楽しみながら、自分たちのこだわりを追求してほしいと思います」(黄帝心仙人)

11.28 SUN :
RAINBOW SHOWCASE

ダンスのダイバーシティが実感できるショーケース!

もう一つのダンスショーケースRAINBOW SHOWCASEには、ダンスのダイバーシティを体現した7組のチームが集結した。
“生徒が主役”のジュニアクルーや、障害の有無に関係なく遊び、作り、表現し、空間を創造するダンスチーム。ダウン症のある人の為のエンタテインメントスクールのチーム。さらにアラウンド還暦のコンビのチーム、多国籍編成チームなどが次々と登場。性別、年齢、国籍を超えたダンスの豊かさを実感させられる。
また、東京都のコロナ禍における芸術文化支援事業「アートにエールを!東京プロジェクト」への参加アーティストも登場。世界でも高く評価されるFlySixB、Kazuho Monster、馬と私、BLUE TOKYOの4組がユニークかつ圧倒的な表現を展開し、ステージはバラエティに富む内容となった。
最後にステージを締めくくったAKIHIRO+ACHI+KANATA+AmamiQueenと、Novel Nextus(PInO+HIRO+KEIN+Miyu) が圧巻のダンスを披露、注目を集めた。

11.28 SUN :
DANCE WITH music

フィナーレは、アンバサダーMicroのパフォーマンス!

フィナーレは、野外ステージで行われたアンバサダーのMicroとSmokey Joe’s Cafeによる「DANCE WITH music」のダンスパフォーマンスの様子を配信。MicroのボーカルとSmokey Joe’s Cafeのダンス、そこにキッズダンサーたちが参加。ストリートダンサーの聖地、渋谷。そこから世界に発信するイベントを締めくくるのにふさわしいものとなった。